夫につられて私がももクロファンになったわけ

モノノフ夫との出会いとももクロのファンとしての生活記録

ももクロって不仲なんでしょ?

「ねえ、ももクロって仲悪いんでしょ?」

 

うちに遊びに来た友達が本棚のDVDやら写真集やらをみてニヤニヤしながら言った。

DVDも写真集も夫のものだ。子どもが生まれて一年近くライブに行くのを我慢していた夫と共に、久しぶりにももクロのクリスマスライブ「ももクリ」に行くつもりであると言った時だった。

その友だちがそんな意地悪なことを言う気持ちはわかる。ももクロはアイドルだし、いい年して、しかも子どもが生まれてもアイドルファンをやってる男が私の夫であることに対して、何か言いたいのだ。

アイドルの追っかけをやるのは結構だが、結婚して子ども生まれてもそれってどうなの?しかもアイドルなんて幻想だよ?女の子グループなんて裏ではみんなで悪口言って足引っ張りあってるに決まってるよ?と。

わたしもそう思っていた。よく知らないけど。ちゃんとももクロのことを見たことなんてなかったけど。だから、夫の影響でももクロファンになってしまった今、そんなことを言ってのける友達に言い返した。違うよ、仲良いよ。みんなすごくいい子たちだよ。

つっかかり気味に反論したわたしを見て友だちは「どうしたの?旦那の影響受けすぎじゃない?」と興味なさげに言うのだった。

 

なぜ30代後半で、今まで全く興味のなかったいわゆるアイドルグループのももクロを好きになったのか、友だちにももクロの魅力を一言で伝えることがその時できなかったことが悔しかった。

 

わたしはなぜももクロを好きになったんだろう?ももクロの魅力とはなんだろう?

 

きっかけは夫に連れられてライブに行くようになり、DVDを見たことなのだが、自分の意思で好きになった理由をもっと掘り起こした結果、わかったことがある。

まず同じ女として見たとき、ライブなりテレビ番組なりでの彼女たちのやりとりを見ているかぎり、不仲はありえないなと思っている。こればかりは女子の嗅覚としか言えないが、女子グループで仲が良いというのはそれだけで好感が持てる。

次に、あくまでわたしの場合だか、ももクロにハマったのはリーダーでありグループの顔である百田夏菜子の天性の魅力に取り憑かれたからだった。

 

ももクロの赤担当の夏菜子。華やかで可愛らしい顔立ちに、完璧なエクボがトレードマークだ。

今でこそセンターで主要楽曲のメインパートを堂々と歌う彼女だが、アイドルになりたてのころはお世辞にも歌がうまいとは言えなかった。もちろんそんなことはももクロファンになってYouTubeの動画を見あさってからわかったことだが。

だから初期の頃に出た音楽番組ではひどく音痴でおよそ歌手とは思えない歌を晒してた。そのド下手時代を乗り越えてきたことも応援したくなる理由のひとつではあるが、それが真の理由ではない。

現在は堂々と生歌でライブをこなす彼女たちだが、ライブでひときわ人の心を奪う声の持ち主が百田夏菜子だ。

 

「GOUN」という曲がある。

「あなたに会いたいよ」そんなワードで始まるその楽曲は、夏菜子の声なしではありえない。恋愛の曲ではないのに「あなたに会いたい」という言葉が、言葉の意味通りに、意味以上に、ひっしりと伝わってくる。少し濡れたような声で、必要より多めに感情を込めた歌い方。そんなに一曲一曲に感情込めて歌っちゃったら最後までもたないよ、と心配したくなるほどに。とにかく歌を伝えよう、届けようとするエネルギーがすごい。

わたしは初めて「GOUN」を聴いた時のことを、それは車の中だったのだけれど、その時にみた景色を、開けた窓から入ってきた風の匂いを、一生忘れないと思う。あまりに彼女の声が切なく感情的に響いて、その瞬間の何もかもが心に焼き付いてしまったのだ。

ももクロの歌の魅力の半分は夏菜子の声にあると思う。どんなアイドルにもない強みだろう。とりあえずみんな、夏菜子のソロパートを聴いてみてほしい。

 

また、百田夏菜子はスピーチの天才でもある。

2014年、国立競技場で悲願のライブを敢行した百田が発したのは、「私たちは天下をとりにきました。それは、アイドルの天下でも、芸能界の天下でもありません。みんなに笑顔を届けるという部分で、天下をとりたい」

という言葉だった。

こんなセリフを20才そこそこの女の子が言えるだろうか。アドリブで。

そして2018年、ももクロ結成10周年の記念ライブ「桃響憧夢」においても、またしても伝説の名スピーチをやってのける。数ヶ月前に突如グループを卒業した有安杏果の不在を受け止めきれず、消化しきれなかったファンが少ならからずいたのだが、不安定だったファンの心を「お前ら全員ついてこい」と見事に引き戻した※この話はまた別途

 

天才肌なのだ彼女は。だからライブのたびに、今回はどんなミラクルを起こすだろう?と目を離せなくなる。

 

そんなことを、今度友だちに会ったら伝えてみたいなと思った。

 

ちなみに、こんなに夏菜子のことを熱弁したけど、推しはれにちゃんだったりする。